ゲーム配信中の音声をリアルタイムで確認する方法:OBS Studioでのモニター設定ガイド
ゲーム配信を始めるにあたり、映像だけでなく音声の品質も視聴体験において非常に重要です。特に、配信中に自分の声やゲーム音が視聴者にどのように聞こえているかをリアルタイムで確認できる「音声モニター」の設定は、音声トラブルを早期に発見し、安定した配信を行う上で不可欠です。
この記事では、OBS Studioを使用してゲーム配信中の音声を自分自身でモニターするための具体的な設定方法について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
なぜゲーム配信で音声モニターが必要なのか
ゲーム配信中に発生するトラブルとして多いのが、音声に関する問題です。例えば、
- マイクが入っていない、または音量が小さすぎる
- ゲーム音が大きすぎて声がかき消されている
- 不必要なノイズが入っている
- 特定の音(ボイスチャットなど)だけ配信に乗ってしまっている、または乗っていない
といった状況は、視聴者にとって大きなストレスとなります。
音声モニターを設定することで、これらの問題を配信中にリアルタイムで把握し、即座に対処することが可能になります。これにより、配信の品質を維持し、視聴者との良好なコミュニケーションを保つことができます。
OBS Studioでの音声モニターの基本設定
OBS Studioでは、「音声ミキサー」ドックを使用して、各音声ソースの音量調整や詳細な設定を行います。音声モニターに関する設定も、この音声ミキサーから行います。
1. 音声ミキサードックの確認
OBS Studioを起動し、画面下部にある「音声ミキサー」ドックを確認してください。ここに、マイク、デスクトップ音声(ゲーム音やBGMなど)など、現在OBSに追加されている音声ソースの一覧が表示されています。もし音声ミキサーが表示されていない場合は、メニューバーの「ドック」から「音声ミキサー」を選択して表示させることができます。
2. 各音声ソースの詳細設定を開く
音声ミキサーに表示されている各音声ソースの右側にある歯車アイコンをクリックし、表示されるメニューから「オーディオの詳細プロパティ」を選択してください。
これにより、「オーディオの詳細プロパティ」ウィンドウが開きます。このウィンドウでは、各音声ソースの音量、バランス、同期オフセットなどの設定と並んで、「音声モニタリング」の設定項目があります。
3. 音声モニタリング設定の選択肢
「オーディオの詳細プロパティ」ウィンドウにある「音声モニタリング」のドロップダウンメニューには、いくつかの選択肢があります。それぞれの設定がどのように機能するかを理解することが重要です。
- モニタリングオフ (デフォルト): この設定では、その音声ソースはOBSの音声ミキサーで処理されますが、自分自身でリアルタイムに聞くことはできません。通常、マイクやゲーム音などのソースはデフォルトでこの設定になっています。
- モニターのみ (出力しない): この設定を選択すると、その音声ソースは自分自身でリアルタイムに聞くことができますが、実際の配信や録画にはその音声は乗りません。これは、例えば配信に乗せないボイスチャットの音声を自分だけ聞きたい場合などに使用します。
- モニターと出力: この設定を選択すると、その音声ソースは自分自身でリアルタイムに聞くことができるとともに、実際の配信や録画にもその音声が乗ります。ゲーム配信で自分のマイク音声やゲーム音声をリアルタイムで確認したい場合は、通常この設定を選択します。
4. マイク音声とゲーム音声のモニタリング設定
一般的なゲーム配信では、自分の声(マイク音声)とゲーム音声(デスクトップ音声など)をモニターしたい場合が多いです。
- 「オーディオの詳細プロパティ」ウィンドウを開きます。
- 一覧から使用している「マイク/Aux」音声ソースを探します。
- その音声ソースの「音声モニタリング」を「モニターと出力」に設定します。
- 次に、ゲーム音が入っている「デスクトップ音声」またはゲームキャプチャなどに関連付けられた音声ソースを探します。
- その音声ソースの「音声モニタリング」も「モニターと出力」に設定します。
- 設定後、「閉じる」をクリックします。
これで、OBS Studioで設定した出力デバイス(通常はPCに接続しているヘッドホンやスピーカー)から、自分のマイク音声とゲーム音声が同時に聞こえるようになります。
音声モニター時の注意点とトラブルシューティング
遅延(ディレイ)について
音声モニターを設定すると、マイクから入力された音がわずかに遅れてヘッドホンから聞こえる場合があります。これは、PCが音声を処理する際に発生する inevitable delay(避けられない遅延)によるものです。わずかな遅延であれば問題ありませんが、遅延が大きすぎると話しづらくなることがあります。
- 対処法:
- 使用しているオーディオインターフェースやマイクのドライバーが最新であることを確認してください。
- OBS Studioの設定で、音声デバイスの「バッファリング」に関する項目がある場合、設定を調整することで改善されることがあります。(ただし、安定性に影響する場合もあるため注意が必要です)
- 高価な機材ほど遅延が少ない傾向にありますが、一般的なUSBマイクやヘッドセットであれば、ある程度の遅延は許容範囲として受け入れる必要があります。
音声が聞こえない場合
音声モニターを設定してもヘッドホンやスピーカーから音が出ない場合は、以下の点を確認してください。
- OBS Studioのモニターデバイス設定: OBS Studioのメニューバー「ファイル」→「設定」→「音声」を開いてください。「モニタリングデバイス」の項目が、実際に音声を聞きたい出力デバイス(ヘッドホンなど)に正しく設定されているか確認してください。誤ったデバイスが選択されていると、音声はそこから出力されてしまいます。
- Windowsのサウンド設定: Windowsのサウンドミキサーや再生デバイス設定で、OBS Studioからの音声がミュートになっていないか、または正しい出力デバイスに送られているか確認してください。
- オーディオの詳細プロパティの再確認: 設定したい音声ソースの「音声モニタリング」が「モニターと出力」、または「モニターのみ(出力しない)」に正しく設定されているか再度確認してください。
- 音量レベルの確認: OBS Studioの音声ミキサーで、該当する音声ソースのレベルメーターが反応しているか確認してください。反応していない場合は、そもそもOBSに音声が入力されていません。
- ヘッドホン/スピーカーの接続と音量: 使用しているヘッドホンやスピーカーがPCに正しく接続されており、音量がミュートになっていないか、または小さすぎないか物理的に確認してください。
まとめ
ゲーム配信における音声モニターは、配信の品質を自身で管理し、視聴者に快適な体験を提供するために非常に重要な機能です。OBS Studioの「オーディオの詳細プロパティ」から、各音声ソースの「音声モニタリング」設定を適切に行うことで、自分のマイク音声やゲーム音声をリアルタイムに確認できるようになります。
初めて音声モニターを設定する際は、最初は少し違和感があるかもしれませんが、慣れることで配信中の音声バランスやノイズの有無を把握し、より質の高い配信を目指すことが可能になります。設定後は必ず短いテスト配信を行い、意図した通りに音声が聞こえるか、視聴者側にはどのように聞こえているかを確認することをお勧めします。この設定を活用し、安定したゲーム配信を実現してください。