ゲーム配信スタートガイド

ゲーム配信中にPCが重い・カクつく時の原因と具体的な対処法ガイド

Tags: ゲーム配信, トラブルシューティング, OBS Studio, PC設定, パフォーマンス

ゲーム配信は、PCにかなりの負荷をかける作業です。ゲームを快適にプレイしつつ、同時にエンコードや配信処理を行うため、PCの性能が不足していたり、設定が適切でなかったりすると、画面がカクついたり、音声が途切れたり、最悪の場合はフリーズしたりといったパフォーマンスの問題が発生することがあります。

このような問題は、配信の品質を低下させるだけでなく、ゲーム体験自体も損なう可能性があります。特に、初めてゲーム配信に挑戦される方にとって、こうしたトラブルは不安材料となるでしょう。

この記事では、ゲーム配信中にPCが重くなる、カクつくといったパフォーマンス問題の主な原因を明確にし、それぞれの原因に対する具体的な対処法を初心者の方でも理解できるよう丁寧に解説します。手順に沿って確認・実行することで、配信パフォーマンスの改善を目指しましょう。

ゲーム配信中にPCが重くなる主な原因

ゲーム配信中にPCのパフォーマンスが低下する原因は一つだけではありません。複数の要因が組み合わさっている場合も多くあります。主な原因として以下の点が考えられます。

  1. CPUまたはGPUの負荷過多:
    • ゲーム自体が高い処理能力を要求している。
    • 配信ソフトウェア(OBS Studioなど)のエンコード設定がPCの性能に対して重すぎる。
    • ゲームと配信ソフトウェア以外のアプリケーションが同時に多くのリソースを使用している。
  2. メモリ(RAM)不足:
    • ゲーム、配信ソフトウェア、その他のアプリケーションが必要とするメモリの合計量が、PCに搭載されているメモリ容量を超えている。
  3. ストレージの問題:
    • ストレージ(HDD/SSD)の空き容量が非常に少ない。
    • 低速なHDDを使用しており、データ読み書きがボトルネックになっている。
  4. ネットワーク回線の問題:
    • 上り(アップロード)速度が配信に必要な帯域幅に対して不足している。
    • 回線が不安定でパケットロスが発生している。
    • Wi-Fi接続を使用しており、有線接続に比べて不安定になっている。
  5. 配信ソフトウェア(OBS Studioなど)の設定:
    • 解像度やフレームレートがPCの性能や回線速度に見合っていない高すぎる設定になっている。
    • エンコーダー設定(例: H.264, HEVC)やエンコーダープリセット(例: veryfast, faster, mediumなど)がPCに過大な負荷をかけている。
  6. ゲーム内の設定:
    • ゲーム内のグラフィック設定が高すぎる(解像度、テクスチャ品質、エフェクトなど)。
  7. PCの冷却不足:
    • PC内部の温度が上昇しすぎ、CPUやGPUが性能を意図的に制限する(サーマルスロットリング)。
    • 冷却ファンやヒートシンクにホコリが溜まっている。
  8. ドライバの問題:
    • グラフィックドライバやその他のシステムドライバが最新ではない、または破損している。

パフォーマンス問題の原因を特定する

問題解決の第一歩は、何がボトルネックになっているのかを特定することです。Windowsを使用している場合、「タスクマネージャー」が非常に役立ちます。

  1. ゲームと配信ソフトウェア(OBS Studioなど)を起動し、配信中と同じような状況を再現します。
  2. キーボードの Ctrl + Shift + Esc を同時に押してタスクマネージャーを開きます。
  3. 「パフォーマンス」タブを選択します。
  4. CPU、メモリ、GPU、ディスク(ストレージ)、イーサネット(ネットワーク)の利用率を確認します。

  5. CPU利用率が常に高い(80%以上): CPUがボトルネックになっている可能性が高いです。

  6. GPU利用率が常に高い(80%以上): GPUがボトルネックになっている可能性が高いです。
  7. メモリ利用率が非常に高い(90%以上): メモリ不足の可能性があります。
  8. ディスク利用率が特定のタイミングで100%になる: ストレージがボトルネックになっている可能性があります。
  9. イーサネット(ネットワーク)の送信速度が配信ビットレートに近い、または常に張り付いている: 回線速度が不足している可能性があります。

OBS Studioを使用している場合は、OBS Studioのウィンドウ下部にあるステータスバーや、メニューの「表示」>「ドック」>「統計」を表示させることでも、CPU使用率(OBS自体と全体)、ドロップしたフレーム数、エンコード負荷などを確認できます。特に「エンコードスキップ数」や「ドロップフレーム数」が多い場合は、PCの処理能力や回線速度に問題がある可能性が高いです。

パフォーマンス問題への具体的な対処法

原因特定に基づいて、以下の対処法を試してみましょう。複数の原因が考えられる場合は、一つずつ順番に試していくことが重要です。

1. OBS Studioの設定を見直す

配信ソフトウェアの設定は、PC負荷に直結します。初心者向けの推奨設定から始めて、必要に応じて調整します。

2. ゲーム内の設定を調整する

ゲーム側の設定もPCの負荷に大きく影響します。

3. 不要なアプリケーションを終了する

ゲームと配信ソフトウェア以外に、多くのアプリケーションを同時に起動していると、それらがPCのリソース(CPU、メモリ)を消費し、パフォーマンス低下の原因となります。

4. PCのドライバを更新する

グラフィックドライバは特に重要です。古いドライバはパフォーマンスの問題を引き起こすことがあります。

5. PCの冷却を確認する

PC内部の温度が上がりすぎると、PCは部品保護のために性能を落とします。

6. ストレージの空き容量を確保する

システムドライブ(Windowsがインストールされているドライブ)の空き容量が極端に少ないと、PCの動作が不安定になることがあります。

7. ネットワーク回線を見直す

回線速度、特に上り(アップロード)速度が配信に必要なビットレートに対して不足していると、配信画面のカクつき(フレームのドロップ)が発生します。

8. ハードウェア(PCパーツ)のアップグレードを検討する

これまでの対処法を試しても改善が見られない場合、お使いのPCの根本的な性能がゲーム配信を行う上で不足している可能性があります。

問題解決のためのステップ

PCパフォーマンス問題を解決するためには、以下のステップで進めることを推奨します。

  1. タスクマネージャーやOBSの統計情報でボトルネックを特定する。
  2. 特定したボトルネックに対する対処法を、負荷の軽いもの(設定変更、不要アプリ終了)から順番に試す。
  3. 変更を加えるたびに、ゲーム配信を行い、改善が見られるか確認する。 一度に複数の設定を変更すると、何が効果があったのか分からなくなります。
  4. それでも改善しない場合は、別のボトルネックがないか再度タスクマネージャーなどで確認する。
  5. 最終手段として、PCのハードウェアアップグレードを検討する。

まとめ

ゲーム配信中のPCパフォーマンス問題は、原因特定と適切な対処を行うことで多くの場合改善が見られます。この記事で解説したように、CPUやGPUの負荷、メモリ不足、ストレージ、回線、そしてOBS Studioやゲーム内の設定など、様々な要因が考えられます。

まずはタスクマネージャーなどを活用して問題の根源を探り、ご紹介した具体的な対処法を一つずつ丁寧に試してみてください。特に、OBS Studioの設定調整やゲーム内設定の最適化は、大きな改善をもたらす可能性があります。

設定変更を行った際は、必ず短時間でも良いのでテスト配信を行い、実際の配信画面やPCの挙動を確認する習慣をつけることが重要です。この記事が、あなたのゲーム配信がより快適になる一助となれば幸いです。