ゲーム配信で選ぶべきスタイルと推奨機材・設定:初心者向け解説
ゲーム配信を始めるにあたり、様々な準備が必要となります。どのようなゲームをプレイするか、どのような機材を用意するかといった点に加え、「どのようなスタイルで配信を行うか」も重要な決定事項の一つです。配信スタイルによって、必要となる機材やOBS Studioでの設定が異なります。
この記事では、代表的なゲーム配信スタイルをご紹介し、それぞれのスタイルに合わせた推奨機材やOBS Studioでの基本的な設定について解説します。ご自身の目指す配信イメージに合ったスタイルを見つけ、必要な準備を進めるための一助となれば幸いです。
ゲーム配信の主なスタイル
ゲーム配信には、大きく分けて以下の3つの代表的なスタイルがあります。
- 顔出し配信: 配信者がWebカメラ等を使用して自身の顔や上半身を映しながらゲームをプレイするスタイルです。視聴者は配信者の表情や反応も見ることができるため、より人間味のある配信となり、視聴者との一体感を生みやすい傾向があります。
- 声のみ配信(ラジオ配信): 配信者の声のみをマイクで拾い、ゲーム画面と共に配信するスタイルです。顔を出すことに抵抗がある場合や、声でのリアクションやトークを重視したい場合に適しています。
- ゲームプレイ専門配信: 配信者の声も顔も映さず、ひたすらゲーム画面のみを配信するスタイルです。純粋にゲームの映像や攻略情報を共有したい場合、あるいは声を出せない環境での配信に適しています。
これらのスタイルは単独で行われることもあれば、組み合わせて行われることもあります。例えば、顔出しと声出しを同時に行うのが一般的な顔出し配信です。また、ゲームプレイ専門配信でありながら、テキストチャットでのみ視聴者と交流するといった形式も考えられます。
スタイル別 推奨機材とOBS Studio設定
ご自身の目指す配信スタイルによって、必要となる機材やOBS Studioでの設定の重点が変わります。ここでは、前述の主要な3つのスタイルごとに、推奨される機材とOBS Studioでの基本的な設定ポイントを解説します。
1. 顔出し配信の場合
顔出し配信では、配信者の映像を視聴者に届けるための機材と設定が必要になります。
推奨機材:
- Webカメラ: 配信者の映像を撮影するために必須です。画質やフレームレート(映像の滑らかさ)を確認し、予算に応じて選択します。フルHD(1080p)解像度、30fps以上が一般的な基準となります。
- 照明: 配信者の顔を明るく、クリアに映すために照明があると効果的です。リングライトやソフトボックスなどが利用されます。顔色を良く見せたり、部屋の暗さを補ったりするのに役立ちます。
- (任意)グリーンバック: 背景を透過させてゲーム画面と合成する際に使用します。これにより、配信者がゲーム画面の上に表示されているような映像を作成できます。設置スペースが必要になります。
OBS Studio設定のポイント:
- 映像キャプチャデバイスソースの追加: Webカメラの映像を取り込むために、「ソース」のリストから「映像キャプチャデバイス」を追加し、使用するWebカメラを選択します。
- 背景設定(グリーンバック使用時): Webカメラのソースに「フィルター」を適用します。右クリックメニューから「フィルター」を選択し、「エフェクトフィルタ」で「クロマキー」を追加します。設定を調整することでグリーンバックの色を透過させることができます。
- レイアウト調整: ゲーム画面ソースの上に、Webカメラソースの映像を配置します。サイズや位置を調整し、視聴者にとって見やすいレイアウトを作成します。必要に応じて、配信者の周りに枠や装飾を追加することも可能です。
注意点:
- カメラ映りを考慮し、部屋の整理や身だしなみに気を配る必要があります。
- 背景に映り込むものにプライバシーに関わる情報がないか確認してください。
2. 声のみ配信の場合
声のみ配信では、視聴者にクリアで聞き取りやすい声を届けることが最も重要になります。
推奨機材:
- マイク: 声を取り込むために必須です。USBマイクやオーディオインターフェース経由で接続するコンデンサーマイクやダイナミックマイクなどがあります。ノイズが少なく、声が明瞭に録れるマイクを選ぶことが推奨されます。価格帯によって音質は大きく変わります。
- (任意)ポップガード/ウインドスクリーン: 息がマイクに直接吹きかかることによる「ボコッ」というノイズ(ポップノイズ)や、エアコンなどの風切り音を防ぐのに役立ちます。
- (任意)マイクスタンド: マイクを適切な位置に固定し、机の振動などによるノイズを軽減します。
OBS Studio設定のポイント:
- 音声入力キャプチャソースの追加: マイクの音声を取り込むために、「ソース」のリストから「音声入力キャプチャ」を追加し、使用するマイクを選択します。
- 音声フィルターの適用: マイクソースの「フィルター」設定で、ノイズ抑制、ノイズゲート、コンプレッサーなどのフィルターを適用することが推奨されます。これにより、環境音を軽減したり、声の音量差を調整して聞き取りやすくしたりできます。
- 音声ミキサーでの音量バランス調整: ゲーム音、マイク音、BGMなど、複数の音声ソースがある場合、音声ミキサーでそれぞれの音量を調整し、マイクの音がゲーム音にかき消されたり、逆に大きすぎたりしないようにバランスを取ります。
注意点:
- 周囲の生活音などがマイクに入り込まないよう、静かな環境を整えることが望ましいです。
- 声のトーンや話し方にも気を配ることで、視聴者が快適に聞き続けられる配信を目指せます。
3. ゲームプレイ専門配信の場合
ゲームプレイ専門配信は、最もシンプルな機材構成で始めやすいスタイルです。しかし、ゲーム画面を安定して高画質で映すためのPC性能や設定が重要になります。
推奨機材:
- 高性能なPC: ゲームをプレイしつつ、同時に配信処理を行うため、CPUやGPU、メモリの性能が重要になります。配信したいゲームの要求スペックに加えて、配信ソフト(OBS Studioなど)を動作させるための余裕が必要です。
- (家庭用ゲーム機の場合)キャプチャーボード: Nintendo SwitchやPlayStation、Xboxなどの家庭用ゲーム機をPCで配信する場合に必須となります。ゲーム機の映像・音声をPCに取り込むための機器です。
OBS Studio設定のポイント:
- ゲームキャプチャソースの追加: プレイしているゲーム画面を取り込むために、「ソース」のリストから「ゲームキャプチャ」を追加し、ゲームアプリケーションを指定します。ウィンドウキャプチャや画面キャプチャでも可能ですが、ゲームキャプチャが最も負荷が少なく推奨されます。
- 情報表示の検討: 配信者自身の映像や声がないため、視聴者が状況を把握しやすいように、チャット欄、操作表示、簡単な情報テロップなどを画面に表示することが有効です。これらは「ウィンドウキャプチャ」や「テキスト(GDI+)」、「画像」などのソースで実現できます。
- ゲーム内設定の調整: ゲーム自体のグラフィック設定を適切に調整することも配信品質に影響します。PC負荷を軽減するために、配信中はゲームのグラフィック設定を少し下げることも検討します。
注意点:
- PCのパフォーマンスが不足していると、ゲーム画面がカクついたり、配信が中断したりする可能性があります。事前にPC性能を確認し、必要に応じてOBS Studioの配信設定(解像度、フレームレート、ビットレート、エンコーダーなど)を調整してください。
- 視聴者とのコミュニケーションはテキストチャットが中心となるため、コメントを見逃さないようにレイアウトを工夫することが重要です。
複数のスタイルを組み合わせる場合
顔出しと声出しを組み合わせるように、複数のスタイルに必要な機材や設定を組み合わせて、より多様な配信を行うことも可能です。例えば、普段はゲームプレイ専門でも、特別な機会に声出しや顔出しをする、といった柔軟な対応も考えられます。
まとめ
ゲーム配信を始めるにあたり、どのようなスタイルで配信を行いたいかを事前に検討することは、必要な機材を効率的に揃えたり、OBS Studioの設定をスムーズに行ったりする上で非常に役立ちます。
顔出し、声のみ、ゲームプレイ専門といった代表的なスタイルごとに、必要となる機材やOBS Studioでの基本的な設定のポイントを解説しました。ご自身の予算や環境、そして「どのような配信をしたいか」という目的に合わせて、最適なスタイルを選び、必要な準備を進めていただければと存じます。
それぞれのスタイルの詳細な設定方法や、さらに高度な機材・設定については、サイト内の各解説記事も併せてご参照ください。
免責事項: この記事の情報は一般的な内容に基づいており、すべての環境や機材での動作を保証するものではありません。個別の機材やソフトウェアの具体的な設定については、それぞれの取扱説明書や公式サイトの情報をご確認ください。