失敗しない!OBS Studioでのゲーム配信同時録画設定と活用法
ゲーム配信を始める際、ライブ配信だけでなく、その様子を同時に録画しておきたいと考える方は少なくありません。録画ファイルは、後で編集してハイライト動画を作成したり、配信の問題点を確認したり、配信サイトでのアーカイブとは別に高品質なバックアップとして利用できるなど、多くのメリットがあります。
この記事では、配信ソフトとして広く利用されているOBS Studioを使って、ゲーム配信と同時に録画を行うための具体的な設定方法と、録画ファイルをどのように活用できるかについて解説します。初心者の方でも迷わないよう、ステップごとに丁寧に説明します。
なぜゲーム配信と同時に録画するのか
ゲーム配信を同時に録画することには、いくつかの重要な利点があります。
- 高品質なアーカイブ: 配信サイトのアーカイブ機能は便利ですが、多くの場合、ライブ配信時のビットレートや解像度に依存し、画質が最適でないことがあります。OBS Studioで別途録画すれば、配信とは異なるより高品質な設定で保存することが可能です。
- 動画編集素材: 配信中の面白いシーンやスーパープレイなどを後で編集し、YouTubeなどの動画プラットフォームに投稿する素材として活用できます。録画データがあれば、ライブ配信を見返すよりも効率的に編集作業を進められます。
- 配信トラブルの検証: 配信中に映像がカクついたり、音声に問題が発生したりした場合、録画データを確認することで、問題の原因を特定しやすくなります。
- オフラインでのコンテンツ制作: ライブ配信はしなかったが、ゲームプレイを記録しておきたい、という場合にも録画機能は役立ちます。
これらの理由から、多くの配信者がライブ配信と同時に録画を行っています。
OBS Studioでの同時録画設定方法
OBS Studioで配信と同時に録画を行うには、「出力」設定を適切に行う必要があります。
ステップ1: 設定ウィンドウを開く
OBS Studioを起動し、右下にある「設定」ボタンをクリックしてください。
ステップ2: 「出力」タブを選択する
設定ウィンドウが開いたら、左側のメニューから「出力」を選択してください。デフォルトでは「基本」モードになっていることが多いですが、ここではより詳細な設定が可能な「出力」モードを使用します。画面上部の「出力モード」を「詳細」に切り替えてください。
ステップ3: 「配信」タブと「録画」タブの設定
「詳細」モードに切り替えると、「配信」「録画」「音声」「リプレイバッファ」といったタブが表示されます。ライブ配信に関する設定は「配信」タブで行いますが、同時録画に関する設定は「録画」タブで行います。
まず「配信」タブで、通常のライブ配信設定(ストリームキー、エンコーダー、ビットレートなど)が正しく行われていることを確認してください。これらの設定については、他の記事で詳しく解説していますのでそちらを参照してください。
次に、「録画」タブを選択します。ここで録画に関する詳細な設定を行います。
録画パス
録画したファイルが保存される場所を指定します。「参照」ボタンをクリックして、保存先のフォルダを選択してください。PCの空き容量が十分にあるドライブを指定することをお勧めします。
録画品質
録画ファイルの品質を設定します。ここでの設定は、ライブ配信の品質とは別に独立して設定できます。一般的には、以下のオプションがあります。
- 配信と同様の品質: ライブ配信と同じエンコーダー設定、ビットレートで録画します。最も手軽ですが、配信品質が低い場合は録画品質も低くなります。
- 高品質、ファイルサイズ大: 配信よりも高いビットレートや別のエンコーダーを使用して、より高品質な録画を行います。動画編集を目的とする場合などに適していますが、ファイルサイズが大きくなります。
- 無損失品質、ファイルサイズ極大: 画質の劣化がほとんどない最高品質で録画しますが、ファイルサイズが非常に大きくなります。特殊な用途以外では一般的ではありません。
ここでは、「高品質、ファイルサイズ大」を選択することを推奨します。これにより、配信とは別に編集などに適した高品質な映像を保存できます。
録画フォーマット
録画ファイルの拡張子(形式)を選択します。
- MKV: 推奨されるフォーマットです。録画中にOBSやPCがクラッシュしても、それまでのデータが失われにくいという利点があります。ただし、一般的な動画編集ソフトで直接扱えない場合があるため、後述の「ファイルを出力形式に変換」機能を使用するか、編集ソフトが対応しているか確認が必要です。
- MP4: 広く互換性があり、多くの動画編集ソフトでそのまま扱えます。しかし、録画中に問題が発生すると、ファイル全体が破損して開けなくなるリスクがあります。
初心者のうちは、まずMKVを選択し、必要に応じて後でMP4に変換する運用をお勧めします。
エンコーダー
映像を圧縮するためのエンコーダーを選択します。利用可能なエンコーダーは、お使いのPCのグラフィックボードやCPUによって異なります。
- ハードウェアエンコーダー (例: NVENC H.264 (New), AMD H.264, QuickSync): グラフィックボードなどのハードウェアを利用してエンコードを行います。CPUの負荷を抑えられるため、ゲームプレイへの影響を最小限に抑えつつ、配信や録画を行うのに適しています。NVENC (NVIDIA GeForce) や AMF (AMD Radeon) が代表的です。
- ソフトウェアエンコーダー (x264): CPUのパワーを使ってエンコードを行います。高品質な映像を生成できますが、CPU負荷が非常に高くなる傾向があります。
通常、ハードウェアエンコーダーを選択することを強く推奨します。これにより、ゲームの動作が安定しやすくなります。配信で使用しているエンコーダーと同じものを録画でも使用することが多いですが、PCのスペックに余裕があれば、録画用により高品質な設定(例: 高いビットレートやプリセット)を適用することも可能です。
エンコーダー設定 (ハードウェアエンコーダーの場合)
ハードウェアエンコーダーを選択した場合、詳細な設定オプションが表示されます。
- ビットレート (Bitrate): 画質を決定する重要な設定です。数値が大きいほど画質は向上しますが、ファイルサイズも増大します。録画の場合、配信よりも高いビットレート(例: 10,000 kbps ~ 30,000 kbps、またはそれ以上)を設定することが一般的です。適切な値はPCスペックや目標とする画質によりますが、高すぎるとPC負荷が増えるため注意が必要です。
- プリセット/品質 (Preset/Quality): エンコードの速度と品質のバランスを設定します。「Quality」や「Max Quality」など高品質寄りの設定を選択すると、より鮮明な映像になりますが、PC負荷も増加します。お使いのPCの性能に合わせて選択してください。
- プロファイル (Profile): 通常は「high」で問題ありません。
- キーフレーム間隔 (Keyframe Interval): 通常「2」秒に設定します。
これらの設定項目はエンコーダーの種類によって多少異なりますが、基本的にはビットレートとプリセットで画質と負荷を調整します。
ステップ4: 設定の適用
設定が完了したら、「適用」ボタンをクリックし、その後「OK」ボタンをクリックして設定ウィンドウを閉じてください。
録画ファイルの活用法
録画したファイルは様々な用途に利用できます。
- 動画編集: Adobe Premiere Pro, DaVinci Resolve, Final Cut Pro, Shotcut (無料) などの動画編集ソフトに取り込み、不要部分のカット、テロップやBGMの追加、ハイライトシーンの抽出などを行います。
- アーカイブ: 配信サイトのアーカイブが削除されたり、限定公開になっている場合でも、手元に高品質な録画ファイルがあれば、後から再アップロードしたり、オフラインで視聴したりできます。
- 自己分析: 自分の配信を見返すことで、話し方、プレイミス、視聴者の反応を見逃さなかったかなどを客観的に分析し、次の配信に活かすことができます。
- トラブルシューティング: 前述の通り、配信中の技術的な問題を特定するのに役立ちます。
MKV形式で録画した場合の変換方法
録画フォーマットにMKVを選択した場合、動画編集ソフトで直接扱えないことがあります。その場合は、OBS Studioの機能を使ってMP4などの一般的な形式に変換できます。
OBS Studioのメニューバーから「ファイル」→「録画の変換」を選択してください。表示されるウィンドウで「録画ファイル」の右側にある「...」ボタンをクリックし、変換したいMKVファイルを選択します。必要であれば「ターゲット形式」を指定し、「変換」ボタンをクリックすると、指定したフォルダに変換されたファイルが保存されます。
同時録画における注意点
ゲーム配信と同時に録画を行う場合、PCへの負荷が単に配信を行うよりも増加します。特に以下の点に注意が必要です。
- PCスペック: 配信と録画を同時に行うには、ある程度のPCスペックが求められます。特にCPUとグラフィックボードの性能が重要です。設定を調整してもカクつきが発生する場合は、PCのアップグレードを検討する必要があるかもしれません。
- ストレージ容量: 高品質な録画を行うと、ファイルサイズが大きくなります。特に長時間の配信を行う場合は、十分なストレージ容量を確保しておいてください。録画パスに指定したドライブの空き容量を定期的に確認しましょう。
- エンコーダー負荷: 配信エンコーダーと録画エンコーダーに同じハードウェアエンコーダーを指定した場合、そのハードウェアの負荷が高まります。PCの性能によっては、配信と録画で異なるエンコーダー(例: 配信をハードウェア、録画をソフトウェア - ただしCPU負荷増に注意)を使い分けるなどの工夫が必要になる場合もありますが、まずは同じハードウェアエンコーダーで設定し、動作を確認するのが一般的です。
まとめ
この記事では、OBS Studioを使用してゲーム配信と同時に録画を行うための設定方法と、録画ファイルの活用法について解説しました。同時録画は、配信コンテンツの質を高めたり、トラブル発生時の原因究明に役立ったりと、多くのメリットをもたらします。
今回ご紹介した設定を参考に、ぜひご自身の配信環境に simultaneous recording (同時録画) を取り入れてみてください。設定の際は、ご自身のPCスペックと相談しながら、最適な録画品質とパフォーマンスのバランスを見つけることが重要です。設定変更後は、必ずテスト録画やテスト配信を行い、意図した通りに動作するか、PCに過度な負荷がかかっていないかを確認することをお勧めします。
これにより、より充実したゲーム配信活動を送るための一助となれば幸いです。