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OBS Studioでゲーム配信の音声を自在に管理:ゲーム音、マイク、BGMの個別調整設定

Tags: OBS Studio, ゲーム配信, 音声設定, オーディオミキサー, 複数音源

ゲーム配信を始める際、映像と同じくらい、いやそれ以上に重要になるのが「音声」です。ゲームの音、ご自身の声(マイク)、ボイスチャットの声、そしてBGMなど、配信では様々な音源を扱います。これらの音が混ざり合ったまま配信されてしまうと、ゲーム音が大きすぎて声が聞こえにくい、逆に声が小さすぎる、ボイスチャットの声が意図せず配信に乗ってしまうなど、視聴者にとって聞きづらい配信になってしまうことがあります。

そこで重要になるのが、これらの複数の音源を個別に管理し、適切に調整することです。OBS Studioを使えば、それぞれの音源を分けて扱い、それぞれに最適な音量や配信への出力設定を行うことが可能です。この記事では、OBS Studioを使用して、ゲーム配信で扱う複数の音声ソースを自在に管理し、高品質な音声配信を実現するための具体的な設定方法を解説します。

ゲーム配信で扱う主な音声ソース

ゲーム配信では、主に以下の種類の音声ソースが発生します。

これらの音源が全て「デスクトップ音声」として一括りにOBSに取り込まれてしまうと、個別の音量調整や特定の音だけ配信に乗せないといった制御ができなくなります。

OBS Studioにおける音声管理の基本

OBS Studioには「音声ミキサー」という機能があり、ここで配信に取り込んでいる音声ソースを確認し、調整することができます。

デフォルト設定の音声ミキサー

OBS Studioを初めて起動した際、特に設定を変更していなければ、音声ミキサーには主に以下の項目が表示されていることが多いです。

この状態では、デスクトップ音声に含まれる様々な音源を個別に調整することができません。ゲーム音が大きい時にゲーム音だけを下げる、ボイスチャットの相手の声だけを配信に乗せない、といった操作が不可能になります。

個別管理の必要性とメリット

各音源を個別にOBSのソースとして追加し、管理できるようになると、以下のようなメリットがあります。

個別の音源をOBSに取り込む方法:アプリケーション音声キャプチャ

OBS Studioでは、特定のアプリケーションから出力される音声のみを個別のソースとして取り込む機能があります。これにより、「デスクトップ音声」として一括りにするのではなく、ゲーム、ボイスチャットアプリ、音楽再生ソフトなどをそれぞれ独立した音声ソースとして扱えるようになります。

この機能はOBS Studio 28以降で「アプリケーション音声出力キャプチャ」、それ以前のバージョンでは「アプリケーション音声キャプチャ(ベータ)」という名前で提供されています。機能名が異なる場合がありますが、使い方は基本的に同じです。

設定手順

ここでは、例としてゲーム音を個別のソースとして取り込む手順を解説します。他のアプリケーション(Discord、音楽再生ソフトなど)も同様の手順で追加できます。

  1. ソースの追加: OBS Studioのメイン画面下部にある「ソース」ドックで、「+」ボタンをクリックします。
  2. ソースの選択: 表示されるメニューから「アプリケーション音声出力キャプチャ」(または「アプリケーション音声キャプチャ(ベータ)」)を選択します。
  3. ソース名の設定: 新しいソースの名前を分かりやすいものにします。例えば「ゲーム音」と入力し、「OK」をクリックします。
  4. アプリケーションの指定: プロパティ画面が開きます。ここで、キャプチャしたいアプリケーションを指定します。「ウィンドウ」のドロップダウンリストから、現在起動しているアプリケーションの中からキャプチャしたいゲームの実行ファイル名やウィンドウタイトルを選択します。
    • リストに表示されない場合は、一度アプリケーションを起動してからOBSのプロパティ画面を開き直してみてください。
    • 特定のゲームのウィンドウタイトルが頻繁に変わる場合は、実行ファイル名を指定する方が安定することがあります。
  5. モードの選択 (通常は自動): 「モード」は通常「実行可能ファイルが起動したオーディオをキャプチャ」のままで問題ありません。
  6. OKをクリック: 設定が完了したら「OK」をクリックします。

これで、選択したアプリケーションから出力される音声が、OBSの音声ミキサーに新しいソースとして追加されます。

追加したソースの確認と調整

音声ミキサーを見ると、「ゲーム音」という新しいスライダーが追加されているはずです。これで、ゲーム音だけを個別に音量調整できるようになります。

同様の手順で、ボイスチャットアプリの音声、BGM再生ソフトの音声などを個別のソースとして追加していくことができます。

各音声ソースの調整と「オーディオの詳細プロパティ」の活用

個別の音声ソースが追加されたら、音声ミキサーでそれぞれの音量バランスを調整します。マイク音声がゲーム音やBGMに埋もれないように、スライダーを調整して適切なバランスを見つけます。

さらに詳細な設定を行うには、「オーディオの詳細プロパティ」を利用します。音声ミキサードックの歯車アイコンをクリックし、「オーディオの詳細プロパティ」を選択します。

「オーディオの詳細プロパティ」では、各音声ソースに対して以下の設定が可能です。

例:ボイスチャットの音声を配信に乗せない設定

ボイスチャットアプリの音声を「アプリケーション音声出力キャプチャ」で追加した場合、「オーディオの詳細プロパティ」を開き、そのソースの「モニター」設定を「モニターのみ (出力しない)」にします。これにより、ご自身はボイスチャットの会話を聞くことができますが、配信にはその音声が流れなくなります。

実践的な活用例とヒント

まとめ

ゲーム配信において、複数の音声ソースを個別に管理し、適切に調整することは、視聴者が快適に配信を楽しむために非常に重要です。OBS Studioの「アプリケーション音声出力キャプチャ」機能と、「オーディオの詳細プロパティ」を活用することで、ゲーム音、マイク音声、ボイスチャット、BGMといった様々な音源を自在に制御し、最適な音声バランスを実現することが可能になります。

この記事で解説した手順を参考に、ご自身の配信環境に合わせて音声設定を行ってみてください。理想的な音声環境が整えば、より魅力的で聞きやすいゲーム配信に繋がり、視聴者とのコミュニケーションも円滑に進むでしょう。まずはテスト配信でご自身の声がしっかり聞こえているか、ゲーム音とのバランスは取れているかなどを確認することをおすすめします。