OBS Studioで始めるゲーム配信:シーンとソースを使った画面構成の基本
ゲーム配信を開始するにあたり、OBS Studioなどの配信ソフトウェアを使用して、視聴者に見せる画面(配信画面)をどのように構成するかは重要な要素です。単にゲーム画面だけを映すだけでなく、Webカメラの映像、マイク音声、チャット画面、画像、テキスト情報などを組み合わせて表示することで、より魅力的で分かりやすい配信を提供することが可能になります。
本記事では、OBS Studioを使用して配信画面を構成する上で不可欠となる「シーン」と「ソース」の概念について解説し、基本的な画面レイアウトの作成方法をステップバイステップでご紹介します。これにより、読者の皆様がご自身の意図する配信画面を迷いなく構築できるようになることを目指します。
OBS Studioにおける「シーン」と「ソース」とは
OBS Studioでは、配信画面は「シーン」と「ソース」という二つの基本的な要素で構成されます。これらの概念を理解することが、画面構成の第一歩となります。
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ソース (Source): ソースとは、配信画面に表示したい個々の要素そのものを指します。例えば、以下のようなものがソースとして扱われます。
- ゲーム画面(ゲームキャプチャ、ウィンドウキャプチャ)
- Webカメラの映像(映像キャプチャデバイス)
- マイクの音声(音声入力キャプチャ)
- 表示したい画像ファイル(画像)
- 表示したいテキスト情報(テキスト (GDI+))
- Webブラウザの表示(ブラウザ)
ソースは、カメラ映像やゲーム画面など、具体的な入力源や表示したい内容そのものです。
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シーン (Scene): シーンとは、複数のソースを組み合わせて作成される「画面のセット」のことです。例えるならば、テレビ番組における場面切り替えのようなものです。一つのシーンには、ゲーム画面、Webカメラ映像、特定の画像、テキストなど、複数のソースを配置することができます。
例えば、以下のようなシーンを作成することが考えられます。 * 開始前画面: 配信開始を知らせる画像やテキストのみが表示されるシーン * ゲームプレイ画面: ゲーム画面、Webカメラ映像、チャット画面などが配置されたシーン * 休憩画面: 休憩中であることを示す画像やテキストが表示されるシーン * 終了画面: 配信終了を知らせる画像やテキストが表示されるシーン
配信者は、配信中にこれらのシーンを切り替えることで、視聴者に見せる画面を瞬時に変更することができます。
シーンとソースの基本的な操作
OBS Studioのメイン画面左下には、「シーン」と「ソース」という二つのウィンドウが表示されています。ここから、シーンやソースの追加、編集、削除などの操作を行います。
新しいシーンの作成
- 「シーン」ウィンドウの何もない場所を右クリックするか、ウィンドウ下部の「+」ボタンをクリックします。
- 表示されたメニューから「追加」を選択します。
- シーンの名前を入力する画面が表示されます。後で見て内容が分かりやすい名前(例:「ゲームプレイ画面」「待機画面」など)を入力し、「OK」をクリックします。
これで新しいシーンが作成され、「シーン」ウィンドウに表示されます。
作成したシーンへのソースの追加
次に、作成したシーンに表示したい要素(ソース)を追加します。
- ソースを追加したいシーンを「シーン」ウィンドウでクリックして選択します。
- 「ソース」ウィンドウの何もない場所を右クリックするか、ウィンドウ下部の「+」ボタンをクリックします。
- 表示されたメニューから追加したいソースの種類を選択します。例えば、ゲーム画面を追加したい場合は「ゲームキャプチャ」、Webカメラ映像を追加したい場合は「映像キャプチャデバイス」、画像を追加したい場合は「画像」を選択します。
- 選択したソースの種類に応じて、新しいソースの名前を入力する画面が表示されます。分かりやすい名前を入力し、「OK」をクリックします。
- 選択したソースの種類に応じた設定画面が表示されます。例えば、「映像キャプチャデバイス」であれば使用するWebカメラを選択する設定、「ゲームキャプチャ」であればキャプチャする方法を選択する設定などがあります。必要な設定を行い、「OK」をクリックします。
ソースが追加されると、「ソース」ウィンドウにその名前が表示され、OBS Studioのプレビュー画面にその内容が表示されます。
ソースの編集・配置
シーンに追加したソースは、プレビュー画面上で自由に位置やサイズを変更できます。
- 位置の変更: プレビュー画面上のソースをクリックしたままドラッグすることで、好きな位置に移動できます。
- サイズの変更: ソースの周囲に表示される赤い四角(バウンディングボックス)の角をドラッグすることで、サイズを変更できます。Shiftキーを押しながらドラッグすると縦横比を維持したままサイズ変更が可能です。Altキーを押しながら角や辺をドラッグすると、ソースの一部を切り抜く(クロップ)ことができます。
- 重ね順の変更: 「ソース」ウィンドウに表示されているソースは、リストの上にあるものほど前面に表示されます。ソースの重ね順を変更したい場合は、「ソース」ウィンドウで対象のソースを選択し、ウィンドウ下部の上下矢印ボタンをクリックするか、右クリックメニューから「順序」を選択して調整します。
複数のソースを使った画面構成例
基本的なゲームプレイ画面では、以下のようなソースを組み合わせて構成することが一般的です。
- ゲームキャプチャまたはウィンドウキャプチャ: プレイしているゲームの画面を映す最も主要なソースです。
- 映像キャプチャデバイス: Webカメラの映像を映すソースです。ゲーム画面の隅などに小さく表示することが多いです。
- 音声入力キャプチャ: マイクからの音声を入力するソースです。これは通常、画面には表示されませんが、「ソース」リストに追加することで音声ミキサーで音量調整が可能になります。
- 画像: 配信ロゴ、フレーム、装飾などの画像を表示するソースです。
- テキスト (GDI+): 配信タイトル、名前、告知などのテキスト情報を表示するソースです。
これらのソースを「ソース」ウィンドウに追加し、プレビュー画面上でそれぞれの位置、サイズ、重ね順を調整することで、自分好みの配信画面を作成します。
画面構成を行う上でのポイント
- 視認性: ゲーム画面や重要な情報が他の要素に隠れていないか、小さすぎないかを確認してください。視聴者が何を見れば良いのか、明確であることが重要です。
- 情報過多にしない: 多くの情報を詰め込みすぎると、画面が cluttered(ごちゃごちゃした)になり、視聴者が見づらくなります。必要最低限の情報に絞り、シンプルで見やすいレイアウトを心がけてください。
- パフォーマンス: 特に多くのソース(特にブラウザソースやアニメーション画像など)を追加すると、PCへの負荷が増加する可能性があります。動作が重くならないか確認し、必要に応じてソースの数を調整してください。
- 著作権: 配信画面に使用する画像、BGM、テキストなどの素材は、著作権に配慮したものを選んでください。
まとめ
本記事では、OBS Studioにおける「シーン」と「ソース」の基本的な概念と、それらを使って配信画面を構成する基本的な手順について解説しました。シーンは画面のセット、ソースは画面を構成する個々の要素であり、これらを組み合わせることで多様な配信画面を作成できます。
まずは基本的な「ゲームプレイ画面」や「待機画面」のシーンを作成し、必要なソース(ゲーム画面、Webカメラ、マイクなど)を追加して配置してみることから始めてみてください。操作に慣れてきたら、テキスト情報や画像を追加したり、複数のシーンを使い分けたりすることで、さらに質の高い配信画面を目指すことが可能になります。
これらの基本的な操作を習得することで、ご自身のゲーム配信をより魅力的なものにできるでしょう。