ゲーム配信スタートガイド

OBS Studioを使ったゲーム配信同時配信設定ガイド

Tags: ゲーム配信, OBS Studio, 同時配信, マルチストリーム, 設定

はじめに:ゲーム配信の視聴者を増やすための選択肢

ゲーム配信を始めたばかりの頃は、特定のプラットフォームで配信することからスタートするのが一般的です。しかし、より多くの視聴者に見てもらう機会を増やしたいと考えた際に、「複数のプラットフォームで同時に配信する」という方法が選択肢として挙げられます。例えば、YouTubeとTwitch、またはその他の配信サイトへ同時に映像と音声を送ることで、それぞれのプラットフォームの利用者にアプローチすることが可能になります。

この記事では、OBS Studioを使用してゲーム配信を複数のプラットフォームで同時に行うための具体的な設定方法と、実施する上での注意点について解説いたします。

同時配信の基本的な仕組み

複数のプラットフォームで同時に配信を行うには、主に以下の2つの方法があります。

  1. リトランスミッター(Restreaming)サービスを利用する: 配信ツール(OBS Studioなど)から一度、同時配信サービス(Restream.ioなど)のサーバーへ映像・音声を送信し、そのサービスが複数のプラットフォームへ配信を中継する方法です。初心者の方にはこの方法が最も推奨されます。

  2. OBS Studioのプラグインや設定を利用する(非推奨): OBS Studio自体に複数の出力先を設定したり、サードパーティ製の同時配信プラグインを利用したりする方法です。ただし、公式にはサポートされていない場合が多く、設定が複雑であったり、予期しないトラブルが発生したりするリスクがあります。サイト「ゲーム配信スタートガイド」では、失敗を避け、堅実な配信環境構築を目指す初心者の方を対象としているため、ここではリトランスミッターサービスの利用を推奨いたします。

この記事では、初心者の方が安心して利用できるリトランスミッターサービスを使った同時配信の方法に焦点を当てて解説を進めます。

推奨される同時配信サービス

同時配信サービスには無料プランや有料プランがあり、対応プラットフォームの数や機能(チャット統合など)が異なります。初心者の方がまずは試してみるには、無料プランが提供されているサービスが良いでしょう。代表的なサービスとしては、Restream.io などがあります。

サービスを選ぶ際は、以下の点を考慮してください。

まずは無料プランで目的のプラットフォームへの同時配信が可能か確認し、必要に応じて有料プランへの移行を検討するのが効率的です。

OBS Studioと同時配信サービスを使った設定手順

ここでは、リトランスミッターサービス(例: Restream.io)を利用してOBS Studioから複数のプラットフォームへ同時配信を行う手順を解説します。具体的なサービスの設定画面は異なる場合がありますので、サービス側の公式ドキュメントも合わせて参照してください。

ステップ 1:同時配信サービスへの登録と設定

  1. 選択した同時配信サービスのウェブサイトにアクセスし、アカウントを作成します。
  2. アカウント作成後、管理画面に進み、「チャンネルを追加」(Add Channelsなど)といった項目を探します。
  3. 配信したいプラットフォーム(YouTube, Twitchなど)を選択し、各プラットフォームのアカウントと連携させます。連携方法は、各プラットフォームのログイン認証を経るのが一般的です。複数のプラットフォームを追加してください。
  4. サービス側で、OBS Studioに入力するための「ストリームキー」(Stream Key)と「RTMP URL」(またはServer URL)を取得します。これは、サービスから発行される専用の情報であり、OBS Studioからサービスへ映像・音声を送るために必要となります。このストリームキーは他人に見られないように厳重に管理してください。

ステップ 2:OBS Studioの配信設定

次に、OBS Studio側で同時配信サービスへ接続するための設定を行います。

  1. OBS Studioを開き、画面右下のコントロールパネルから「設定」をクリックします。
  2. 設定ウィンドウが表示されたら、左側のメニューから「配信」を選択します。
  3. 「サービス」のプルダウンメニューで、利用する同時配信サービス名が表示されていればそれを選択します。表示されていない場合や、汎用設定を利用する場合は「カスタム」を選択します。
    • サービス名を選択した場合: ストリームキーの入力欄が表示されるので、ステップ1で取得したストリームキーを入力します。サーバーは自動的に設定される場合が多いですが、手動で選択できる場合は最適なサーバー(通常は geografically nearest server などと記載されているもの)を選択してください。
    • 「カスタム」を選択した場合:
      • 「サーバー」欄に、ステップ1で取得したRTMP URLを入力します。
      • 「ストリームキー」欄に、ステップ1で取得したストリームキーを入力します。
  4. 設定ウィンドウ左側の「出力」を選択します。
  5. 「出力モード」が「基本」になっている場合は「詳細」に変更します。
  6. 「配信」タブを選択します。
    • エンコーダー: PCの性能に合わせて選択します。(例: NVIDIA製GPU搭載PCならNVENC、Intel製CPUならQuickSync VCE、それ以外やCPU負荷を許容できる場合はx264)
    • レート制御: CBR(固定ビットレート)を選択するのが一般的です。
    • ビットレート: 同時配信サービスへのアップロードビットレートを設定します。このビットレートは、最も要求される画質のプラットフォームに合わせて設定しつつ、自身の回線の上り速度に対して十分な余裕を持たせる必要があります。例えば、YouTube LiveとTwitchへ同時配信する場合、双方の推奨ビットレート上限などを確認し、適切な値を設定します。一般的に、単一プラットフォームへの配信時よりも高めの回線速度が必要となる可能性があります。
    • キーフレーム間隔: 通常は2秒に設定します。
  7. その他の設定項目(プリセット、プロファイル、チューンなど)は、PCの性能や配信したい画質に応じて調整しますが、単一プラットフォームへの配信設定と基本的には同じ考え方です。詳細については、サイト内のOBS設定に関する他の記事も参照してください。
  8. 設定が完了したら「適用」をクリックし、「OK」をクリックして設定ウィンドウを閉じます。

ステップ 3:テスト配信の実施

設定が完了したら、必ずテスト配信を実施してください。

  1. 同時配信サービスの管理画面で、接続した各プラットフォームへの配信設定が有効になっているか確認します。
  2. OBS Studioで「配信開始」をクリックします。映像・音声が同時配信サービス経由で各プラットフォームへ送信されます。
  3. 各プラットフォームの配信管理画面や実際の視聴ページで、正しく配信されているか(映像・音声が出ているか、カクつきはないかなど)を確認します。
  4. チャット統合機能を利用する場合は、各プラットフォームでコメントを投稿してみて、サービス側のチャット管理画面に正しく表示されるかを確認します。
  5. 問題がなければ、テスト配信を終了します。

同時配信における注意点

同時配信は多くの視聴者にアプローチできるメリットがありますが、いくつかの注意点があります。

まとめ

OBS Studioと同時配信サービスを利用することで、ゲーム配信を複数のプラットフォームへ同時に行うことが可能です。これにより、より多くの視聴者に自身の配信を見てもらう機会を増やすことができます。

設定は、まず利用する同時配信サービスを選択し、プラットフォーム連携とストリームキーの取得を行います。次にOBS Studioの配信設定で、取得したストリームキーとRTMP URLを入力し、回線速度に合わせたビットレート設定などを行います。設定後は必ずテスト配信を実施し、映像・音声が正常に各プラットフォームへ届いているか、回線やPCに過度な負荷がかかっていないかを確認してください。

同時配信は、視聴者を拡大するための有効な手段の一つですが、回線負荷やPC負荷の増加、チャット管理など、単一配信とは異なる注意点があります。これらの点を理解し、自身の環境に合わせて適切に設定を行うことで、安定した同時配信を実現することができるでしょう。

この記事が、ゲーム配信の同時配信を検討されている方の一助となれば幸いです。