OBS Studioでゲーム配信画面に別のウィンドウ(ブラウザ、Discordなど)を表示する方法
はじめに
ゲーム配信において、ゲーム画面のみを表示するだけでなく、ブラウザで攻略情報を見たり、Discordでの通話相手の状態を表示したり、配信ツールからの通知を表示したりと、ゲーム画面以外のウィンドウを表示させたい場面が多くあります。これにより、視聴者へより多くの情報を提供したり、配信をより分かりやすくしたりすることが可能になります。
この記事では、ゲーム配信ソフトウェアであるOBS Studioを用いて、ゲーム画面に加えて特定のウィンドウ(ブラウザ、Discordなど)を配信画面に表示させるための具体的な設定方法について解説します。基本的な手順から、よくある問題への対処法まで網羅しますので、ゲーム配信の画面構成をより豊かにしたいとお考えの方はぜひ参考にしてください。
ウィンドウキャプチャとは
OBS Studioには、「ソース」と呼ばれる様々な要素を配信画面に追加する機能があります。ゲーム画面を表示させるための「ゲームキャプチャ」や「ウィンドウキャプチャ」もソースの一種です。
「ウィンドウキャプチャ」ソースは、パソコン上で起動している特定のアプリケーションのウィンドウだけを切り取って、配信画面に表示させる機能です。この機能を使うことで、ゲーム画面全体をキャプチャしている場合でも、特定のウィンドウだけを重ねて表示することができます。
例えば、以下のような用途で活用できます。
- ブラウザ: 攻略サイト、コメントビューア、配信管理画面
- Discord: 通話中のメンバー表示、テキストチャット
- その他のアプリケーション: 配信で利用するツール、メモ帳、チャットソフトなど
特定のウィンドウだけを選択して表示できるため、不要な部分が配信に映り込む心配が少なく、画面構成の自由度を高めることができます。
OBS Studioで特定のウィンドウを表示させる設定手順
それでは、OBS Studioで特定のウィンドウを配信画面に追加する具体的な手順をステップバイステップで解説します。
ステップ1:ソースの追加
OBS Studioの画面下部にある「ソース」ドック内で右クリックし、「追加」から「ウィンドウキャプチャ」を選択します。または、左下にある「+」ボタンをクリックして、「ウィンドウキャプチャ」を選択しても同じです。
新しいソースの名前を設定する画面が表示されます。デフォルトのままでも構いませんが、どのウィンドウを表示させるのか分かりやすい名前に変更することをおすすめします。例えば、「ブラウザ_コメント」や「Discord_通話状態」などと入力し、「OK」をクリックします。
ステップ2:ウィンドウキャプチャのプロパティ設定
ソースの名前を決定すると、「(ソース名)のプロパティ」ウィンドウが表示されます。ここで、どのウィンドウをキャプチャするかなどの詳細を設定します。
設定項目はいくつかありますが、主に以下の項目を確認・設定します。
- ウィンドウ: ここで、キャプチャしたいアプリケーションのウィンドウを選択します。現在起動しているウィンドウのリストが表示されるので、その中から目的のウィンドウ名を選択してください。ウィンドウ名は通常、「(ウィンドウのタイトル) - (アプリケーション名)」のような形式で表示されます。(例:「Google Chrome」、「Discord」など)
- キャプチャ方法: ウィンドウをキャプチャする方法を選択します。通常は「自動」で問題ありませんが、特定のアプリケーションでうまくキャプチャできない場合に他の方法(例:「Windows 10 (1903以降)」、「Window Graphics Capture」など)を試すことがあります。最初は「自動」のまま進めることを推奨します。
- ウィンドウ優先度: 通常は「ウィンドウのタイトルに一致するウィンドウを探す、そうでなければ~」のまま変更する必要はありません。
- カーソルをキャプチャ: ウィンドウ上にマウスカーソルを表示させるかどうかを選択します。配信中にカーソルを見せたい場合はチェックを入れます。
- クライアント領域をキャプチャ: ウィンドウのタイトルバーや境界線を含めるか含めないかを選択します。通常は含めない(チェックを入れる)ことで、ウィンドウの内容だけを表示できます。
- レイヤー合成ウィンドウ: 特定のウィンドウの上に別のウィンドウが重なった際に、そのウィンドウもキャプチャに含めるかの設定です。通常はチェックを外したままで問題ありません。
- 透過を許可: ウィンドウの透過部分(例:通知ウィンドウの影など)を透過して表示するかどうかを選択します。通常はチェックを入れることで、より自然な見た目になります。
これらの設定を行い、画面下部の「OK」をクリックしてプロパティウィンドウを閉じます。
ステップ3:配信画面での配置と調整
プロパティ設定が完了すると、OBS Studioのプレビュー画面に選択したウィンドウが表示されます。ソースドック内で追加した「ウィンドウキャプチャ」ソースが選択されていることを確認してください。
プレビュー画面上で、表示されたウィンドウをドラッグして好きな位置に移動させたり、四隅や辺をドラッグしてサイズを調整したりすることができます。ゲーム画面の上に重ねて表示する場合、適切なサイズと位置に調整してください。
また、「Alt」キーを押しながらウィンドウの辺をドラッグすると、ウィンドウの表示範囲をトリミング(切り取り)することができます。特定の情報だけを表示させたい場合に便利な機能です。
複数のウィンドウを表示させたい場合は、上記の手順を繰り返して「ウィンドウキャプチャ」ソースを追加していきます。ソースドック内での表示順序が、配信画面での重なり順序になります。上にあるソースほど前面に表示されます。
ウィンドウキャプチャの活用例
ウィンドウキャプチャ機能を活用することで、配信はよりインタラクティブになり、視聴者への情報提供も容易になります。いくつかの具体的な活用例を紹介します。
- コメントビューアの表示: Webサイト形式のコメントビューアをブラウザで開き、そのウィンドウをキャプチャして配信画面の隅に表示させます。これにより、視聴者は自分のコメントが配信者に届いていることを視覚的に確認できます。
- Discord通話状態の表示: Discordウィンドウのうち、通話中のメンバーが表示される部分のみをトリミングして表示します。誰が話しているかが視覚的に分かりやすくなります。
- 攻略情報の参照: ゲーム中に参照する攻略サイトのウィンドウを一時的に表示させます。
- ツールやソフトウェア画面の紹介: 配信で利用しているツールや、特定の操作を行うソフトウェアの画面を視聴者に見せたい場合に利用します。
これらの活用例はあくまで一部です。あなたの配信スタイルに合わせて、様々なウィンドウキャプチャの活用方法を試してみてください。
よくあるトラブルと対処法
ウィンドウキャプチャを設定する際に遭遇しやすいトラブルとその対処法について説明します。
トラブル1:選択したウィンドウが表示されない、または真っ黒になる
- 原因: アプリケーションの権限不足、キャプチャ方法の不一致、ウィンドウの最小化などが考えられます。
- 対処法:
- キャプチャしたいアプリケーションとOBS Studioを管理者として実行してみてください。特にOBS Studioを管理者として実行することで、多くのアプリケーションのウィンドウを正常にキャプチャできるようになります。
- ウィンドウキャプチャのプロパティを開き、「キャプチャ方法」を「自動」以外の方法(例:「Windows 10 (1903以降)」、「Window Graphics Capture」など)に変更して試してください。
- キャプチャしたいウィンドウが最小化されていないか確認してください。ウィンドウキャプチャは、通常、最小化されたウィンドウはキャプチャできません。
- ゲーム画面を「ゲームキャプチャ」でキャプチャしている場合、フルスクリーンのゲームは他のウィンドウキャプチャと競合することがあります。この場合は、ゲーム側をウィンドウモードやボーダーレスウィンドウモードで実行することで改善されることがあります。
トラブル2:ウィンドウが透過されない、または透過がおかしい
- 原因: ウィンドウ側の設定や、OBS Studioの「透過を許可」設定が影響している可能性があります。
- 対処法: ウィンドウキャプチャのプロパティで「透過を許可」にチェックが入っているか確認してください。それでも透過しない場合は、そのアプリケーション自体が透過表示に対応していない可能性があります。
トラブル3:ウィンドウを非アクティブにすると表示が消える/更新されない
- 原因: 一部のアプリケーションは、アクティブでない状態では画面更新を停止することがあります。
- 対処法: OBS Studio側の設定でこれを直接解決することは難しい場合があります。可能であれば、キャプチャしたいアプリケーションの設定で、非アクティブ時でも画面更新を続けるようなオプションがないか探してみてください。あるいは、そのアプリケーションの代替となるツールを探すことも検討できます。
まとめ
この記事では、OBS Studioのウィンドウキャプチャ機能を使って、ゲーム画面以外のブラウザやDiscordなどのウィンドウを配信画面に表示させる方法について解説しました。
特定のウィンドウをオーバーレイ表示させることで、配信に情報を加えたり、視聴者とのインタラクションを豊かにしたりすることが可能になります。設定は比較的シンプルですが、いくつかの注意点やトラブルシューティングの知識があると、よりスムーズに導入できます。
今回ご紹介した設定方法を参考に、あなたのゲーム配信画面をさらに魅力的に構成してみてください。ウィンドウキャプチャ以外にも、画像やテキスト、ウェブソースなど、OBS Studioには様々なソースを追加して配信画面を装飾する機能があります。これらの機能を組み合わせて使うことで、よりプロフェッショナルな配信画面を作成することも可能です。
次にどのような情報を配信画面に追加したいか考え、今回学んだウィンドウキャプチャの設定を実践してみましょう。配信画面のカスタマイズは、配信を続ける上での楽しみの一つとなるはずです。