ゲーム配信ソフト Streamlabs OBSの基本設定とOBS Studioとの違い
ゲーム配信を始めようとお考えの際、多くの方がまず「OBS Studio」という名前を耳にされることと思います。OBS Studioは非常に高機能で多くの配信者にご利用いただいている定番ソフトですが、初心者の方にとっては少し複雑に感じられる場面があるかもしれません。
本記事では、OBS Studioとは異なる選択肢として「Streamlabs OBS」(以下、SLOBS)に焦点を当て、その特徴と基本的な設定方法を解説いたします。SLOBSはOBS Studioを基盤としていますが、初心者でも直感的に操作しやすいインターフェースや、配信に必要な機能が統合されている点が特徴です。OBS Studioとの違いも明確にし、どちらのソフトがご自身の配信スタイルに適しているか判断する一助となれば幸いです。
Streamlabs OBS (SLOBS) とは? OBS Studioとの基本的な違い
SLOBSは、オープンソースソフトウェアであるOBS Studioのコードをベースに開発された配信・録画ソフトウェアです。OBS Studioの安定した高性能を維持しつつ、初心者の方でも迷いにくいように改良が加えられています。
主な違いとして、以下の点が挙げられます。
- ユーザーインターフェース: SLOBSはデザイン性が高く、配信に必要な主要機能(シーン、ソース、ミキサー、チャット、アラートボックスなど)が一つのウィンドウに集約されています。OBS Studioに比べて視覚的に分かりやすく、初心者でも操作に慣れやすいように工夫されています。
- 機能統合とウィジェット: 視聴者からの通知を表示するアラートボックス、目標達成ゲージ、フォロワーリストなどの様々な「ウィジェット」がデフォルトで統合されており、簡単な操作で配信画面に追加できます。また、テーマやオーバーレイといった配信画面の装飾素材も豊富に用意されており、手間をかけずにプロフェッショナルな見た目の配信画面を作成しやすい点も特徴です。OBS Studioでこれらの機能を実現するには、別途ブラウザソースや外部サービスとの連携が必要となる場合が多いです。
- 設定の簡便さ: 初回起動時に、PCのスペックや回線速度に基づいた推奨設定を自動で行う「最適化」機能が提供されています。これにより、難しい設定項目に詳しくなくても、ある程度の品質で配信を開始できます。
- パフォーマンス: ベースはOBS Studioですが、統合された機能が多い分、わずかに動作が重くなる可能性が指摘されることもあります。ただし、これはPC環境によって異なり、多くの環境では問題なく動作します。
シンプルに配信を開始したい、デザイン性のある画面を簡単に作りたいという初心者の方にとって、SLOBSは有力な選択肢となります。
Streamlabs OBSのダウンロードとインストール
SLOBSは、公式ウェブサイトからダウンロードできます。
- Streamlabsの公式ウェブサイト(
https://streamlabs.com/
)にアクセスします。 - トップページまたはダウンロードページから、「Download」ボタンをクリックします。
- ダウンロードしたインストーラーファイル(通常は
Streamlabs.exe
のようなファイル名)を実行します。 - 画面の指示に従ってインストールを進めます。インストール先フォルダなどを指定できますが、通常はデフォルト設定のままで問題ありません。
インストールが完了したら、SLOBSを起動します。
初期設定ウィザードを使った基本的な設定
SLOBSを初めて起動すると、初期設定ウィザードが表示され、推奨設定を自動で行うことができます。この機能を利用することで、専門的な知識がなくても基本的な配信設定を完了できます。
- サービス連携: 最初に使用する配信プラットフォーム(YouTube、Twitch、Facebook Liveなど)を選択し、アカウントを連携します。ログインが必要となりますので、画面の指示に従って進めてください。
- 最適化(任意): PCのハードウェアとインターネット回線速度をスキャンし、最適な配信設定(解像度、フレームレート、ビットレートなど)を提案してくれる機能です。「最適化」ボタンをクリックすると自動で設定が行われます。手動で詳細設定を行いたい場合はスキップすることも可能です。
- マイクとWebカメラの設定: 使用するマイクとWebカメラを選択します。ドロップダウンリストから該当するデバイスを選びます。
- テーマの選択(任意): あらかじめ用意されている無料または有料の配信テーマを選択できます。後から変更も可能ですので、ここではスキップしても構いません。
ウィザード完了後、SLOBSのメイン画面が表示されます。
SLOBSでのシーンとソースの設定
配信画面を構成する基本的な要素は、OBS Studioと同様に「シーン」と「ソース」です。
- シーン: 配信画面の構成全体を指します。例えば、「ゲームプレイ画面」「配信開始前画面」「休憩中画面」など、状況に応じて切り替える画面ごとにシーンを作成します。
- ソース: 各シーンの中に配置する個別の要素です。ゲーム画面、Webカメラ映像、マイク音声、テキスト、画像、アラートボックスなどがソースにあたります。
SLOBSの画面下部にある「シーン」エリアと「ソース」エリアを使って設定を行います。
- 新しいシーンの追加: 「シーン」エリアの下にある「+」ボタンをクリックし、新しいシーン名を入力して追加します。
- ソースの追加: 作成したシーンが選択されていることを確認し、「ソース」エリアの下にある「+」ボタンをクリックします。
-
表示されるリストから追加したいソースの種類を選択します。一般的なソースは以下の通りです。
- ゲームキャプチャ: 実行中のゲーム画面を取り込みます。特定のウィンドウを指定する方法と、フルスクリーンアプリケーションを自動検出する方法があります。
- ウィンドウキャプチャ: 特定のアプリケーションウィンドウ(例:ブラウザ、Discordなど)を取り込みます。
- 画面キャプチャ: PCのデスクトップ全体を取り込みます。
- 映像キャプチャデバイス: Webカメラやキャプチャーボードからの映像を取り込みます。
- 音声入力キャプチャ: マイクからの音声を取り込みます。初期設定ウィザードで設定済みの場合が多いですが、別のマイクを追加する場合などに使用します。
- 画像: 配信画面に画像(ロゴ、背景など)を表示します。
- テキスト (GDI+): 配信画面にテキストを表示します。
- ブラウザソース: Webページの内容を埋め込みます。これにより、外部サービス(コメントジェネレーター、視聴者参加型ゲームなど)の情報を表示できます。
-
ソースの種類を選択後、具体的な設定(どのゲーム/ウィンドウをキャプチャするか、どのデバイスを使用するかなど)を行い、「ソースを追加」ボタンをクリックします。
- 追加されたソースは「ソース」リストに表示され、プレビュー画面上でサイズや位置を調整できます。複数のソースがある場合は、リストの上にあるものほど手前に表示されます。
アラートボックスやウィジェットの追加
SLOBSの大きな特徴は、配信を盛り上げるためのウィジェットが簡単に利用できる点です。フォロワーやSuper Chatなどの通知を表示するアラートボックスは、特に多くの方に利用されています。
- シーンを選択した状態で、「ソース」エリアの「+」ボタンをクリックします。
- 「ウィジェット」カテゴリの中から「Alert Box」や「Goal Widget」、「Event List」などを選択します。
- 「ソースを追加」をクリックし、ウィジェットの細かい設定(表示内容、アニメーション、音声など)を行います。
- 設定完了後、配信画面上の希望する位置に配置します。
これらのウィジェットは、配信サービスと連携して自動的に最新の情報が表示されるため、視聴者とのインタラクションを視覚的に分かりやすく伝えることができます。
まとめ
本記事では、ゲーム配信ソフトとしてStreamlabs OBSに焦点を当て、その特徴、OBS Studioとの違い、そして基本的な設定方法について解説いたしました。
Streamlabs OBSは、直感的で分かりやすいインターフェース、配信に役立つウィジェットの統合、そして簡単な初期設定ウィザードなど、特にゲーム配信をこれから始める初心者の方にとって非常に扱いやすいソフトウェアです。OBS Studioが高機能である一方、SLOBSは「配信を簡単に始めたい」「画面をそれらしく見せたい」といったニーズに応えることに長けています。
どちらのソフトも無料で使用できますので、可能であれば両方を試してみて、ご自身のPC環境や使いやすさで判断されることをお勧めいたします。
この記事を通してStreamlabs OBSの基本的な使い方がご理解いただけたなら、次は実際にゲームを起動し、SLOBSでゲーム画面を取り込んでみるステップに進んでみましょう。そして、テスト配信を行って、映像や音声に問題がないか確認してください。