ゲーム配信前に見直す!WindowsのPC設定最適化ガイド
ゲーム配信を始める準備として、配信ソフトや機材の選定に加えて、お使いのPC(Windows)の基本的な設定を見直すことも重要です。Windowsの設定によっては、ゲームや配信ソフトの動作に影響を与え、パフォーマンスが低下したり、予期せぬ通知が表示されたりすることがあります。
本記事では、ゲーム配信の安定性を高め、快適な配信環境を整えるために確認しておきたいWindowsの主要な設定項目について、その目的と具体的な手順を解説します。
なぜWindowsの設定を見直す必要があるのか
ゲーム配信は、ゲームの描画、配信ソフトによる映像・音声処理、エンコード、そしてネットワークへのデータ送信といった複数のプロセスが同時に進行します。これらのプロセスはPCのリソース(CPU、GPU、メモリ、ネットワーク帯域など)を消費します。
Windowsには、普段使いにおいては便利でも、ゲーム配信時には不要なリソースを消費したり、配信を妨げる可能性がある機能が存在します。これらの設定を適切に見直すことで、配信に割り当てられるリソースを増やし、より安定したパフォーマンスを実現することができます。
ゲーム配信向けに最適化するWindows設定項目
ここでは、ゲーム配信を考慮して確認・調整しておきたいWindowsの設定項目をいくつかご紹介します。
1. ゲームモードの設定
Windows 10以降に搭載されている「ゲームモード」は、ゲームが実行されていることを検知し、システムリソースをゲームに優先的に割り当てる機能です。配信ソフトとゲームを同時に実行する場合、この機能が有効になっていることで、ゲームパフォーマンスの維持に役立つ場合があります。
- 設定手順:
- Windowsの「設定」を開きます(Windowsキー + I)。
- 「ゲーム」を選択します。
- 左側のメニューから「ゲームモード」を選択します。
- 「ゲームモード」の項目が「オン」になっていることを確認します。通常、デフォルトでオンになっています。
2. 電源プランの設定
PCの電源プランは、パフォーマンスと省電力のバランスを制御します。「省電力」や「バランス」設定になっていると、PCの性能が十分に発揮されない可能性があります。ゲーム配信時は、PCの最大限のパフォーマンスを引き出すために「高パフォーマンス」や「究極のパフォーマンス」(Windows 10 Pro/Workstation等の一部のエディションで利用可能)を選択することが推奨されます。
- 設定手順:
- Windowsの検索バーに「コントロールパネル」と入力し、コントロールパネルを開きます。
- 「ハードウェアとサウンド」を選択します。
- 「電源オプション」を選択します。
- 利用可能なプランの一覧から「高パフォーマンス」を選択します。もし表示されていない場合は、「追加プランを表示」をクリックします。
- ノートPCの場合は、ACアダプター接続時にこの設定が適用されるように確認してください。
3. 通知設定
Windowsの通知機能は、OSやアプリからの情報を知らせてくれますが、ゲームプレイ中や配信中に画面上にポップアップ表示されると、視聴者の視界を遮ったり、パフォーマンスにわずかな影響を与えたりする可能性があります。配信中は通知を一時的に無効にすることが望ましいです。
- 設定手順:
- Windowsの「設定」を開きます。
- 「システム」を選択します。
- 左側のメニューから「通知とアクション」を選択します。
- 「通知」の項目にある「アプリやその他の送信者からの通知を取得する」をオフにします。
- 特定のアプリアクションを除外したい場合は、下部のアプリリストから個別に設定することも可能です。
- 「集中モード」(旧称:アクションセンター)を活用して、配信中だけ通知を制限することも有効です。
4. バックグラウンドアプリの制限
Windowsストアアプリの中には、バックグラウンドで動作し、情報を更新したり通知を送信したりするものがあります。これらのバックグラウンド処理は、PCのリソースを消費する可能性があります。配信中は、不要なバックグラウンドアプリの動作を制限することで、リソースを解放し、ゲームや配信ソフトの安定性に貢献できます。
- 設定手順:
- Windowsの「設定」を開きます。
- 「プライバシー」を選択します。
- 左側のメニューをスクロールし、「バックグラウンドアプリ」を選択します。
- 「バックグラウンドでアプリを実行できるようにする」の項目をオフにします。
- 特定のアプリのみ許可したい場合は、この項目をオンにしたまま、下部のアプリリストから個別にオン/オフを切り替えます。
5. グラフィック設定(GPUスケジューリング、アプリごとのGPU設定)
高性能なグラフィックカード(GPU)を搭載しているPCでは、ゲームや配信ソフトが正しくGPUを使用するように設定することが重要です。Windows 10の特定のバージョン以降では、ハードウェアアクセラレーテッドGPUスケジューリングといった機能や、アプリごとに使用するGPUを指定する設定が追加されています。
- 設定手順(ハードウェアアクセラレーテッドGPUスケジューリング):
- Windowsの「設定」を開きます。
- 「システム」を選択します。
- 左側のメニューから「ディスプレイ」を選択します。
- 関連設定にある「グラフィックの設定」をクリックします。
- 「ハードウェアアクセラレーテッドGPUスケジューリング」の項目をオンに設定します。この設定は、対応するGPUとドライバーが必要です。設定変更後にPCの再起動が必要です。
- 設定手順(アプリごとのGPU設定):
- 上記の「グラフィックの設定」画面を開きます。
- 「グラフィックパフォーマンス設定を選択してください」の下で、設定したいアプリの種類(「デスクトップアプリ」または「Microsoft Storeアプリ」)を選択します。
- 「参照」ボタンをクリックして、設定したいゲームや配信ソフト(例: OBS Studioの実行ファイル
obs64.exe
など)を選択リストに追加します。 - リストに追加されたアプリを選択し、「オプション」をクリックします。
- 通常は「システム既定」で問題ありませんが、特定の高性能GPUで実行させたい場合は「高パフォーマンス」を選択し、搭載されている高性能GPUがカッコ内に表示されていることを確認して「保存」をクリックします。
6. 不要な常駐ソフトの停止
PCの起動時に自動的に実行され、バックグラウンドで常に動作している(常駐している)ソフトウェアは、意識せずともリソースを消費しています。ゲーム配信に関係のない、あるいは配信中に不要な常駐ソフトは、可能な範囲で終了させるか、自動起動を無効にすることで、PCへの負荷を軽減できます。
- 確認・停止の手順:
- タスクバーを右クリックし、「タスクマネージャー」を開きます(または Ctrl + Shift + Esc)。
- 「プロセス」タブで、現在実行されているアプリやバックグラウンドプロセスを確認します。CPUやメモリの使用率が高いにも関わらず、配信に不要と思われるプロセスがないか確認します。
- 「スタートアップ」タブでは、Windows起動時に自動実行されるアプリの一覧が表示されます。不要なアプリは選択して「無効にする」をクリックします。ただし、セキュリティソフトやPCのハードウェア管理ツールなど、停止してはいけないものもあるため注意が必要です。
まとめ
ゲーム配信を始めるにあたり、OBS Studioなどの配信ソフトや機材の設定はもちろん重要ですが、その土台となるWindowsのPC設定も配信の安定性に大きく影響します。本記事でご紹介したゲームモード、電源プラン、通知、バックグラウンドアプリ、グラフィック設定、不要な常駐ソフトの停止といった項目を見直すことで、お使いのPCのポテンシャルを最大限に引き出し、より快適で安定したゲーム配信を実現できる可能性が高まります。
これらの設定変更は比較的簡単に行えますが、変更後は必ずテスト配信を行い、意図した効果が得られているか、予期せぬ問題が発生しないかを確認することが重要です。一歩ずつ設定を進め、ご自身のPC環境に合った最適な設定を見つけてください。